SnK JOURNAL # 3

JOURNAL # 2 を読んでくださった皆さま、ありがとうございました。

早いもので、# 0 を入れると今回で4話目。
どんな方が読んでくださっているのか、どこまで届いているのか。

この言葉の先にいる方々や、そのシチュエーションを想像すると、とても不思議な気持ちになります。

サーフィンで波に乗ったとき、海や人と繋がるあの感覚。
山に登り、目の前に広がる壮大な景色を共に目にしたときの、包み込まれるあの感覚。

今の時代、この媒体を通して、ものづくりやブランドづくりについて共感し合える人は、この世界にどれくらいいるのでしょうか。

ワクワクするような、ドキドキするような。
そんな気持ちで、今日も記します。

# 3 では、創業時からの目標であり、ブランドとしてのターニングポイントとなった 3daysofdesign 2025 出展の日々を、実体験や出会いとともに振り返ります。


世間がゴールデンウィークに向けて浮き足立ちはじめた4月下旬。
私は “3daysofdesign” で展示する製品の最終確認と、海外輸送の準備に追われていました。

30歳前後の頃、小売店や飲食店の海外進出に伴う店舗づくりをサポートする仕事をしていたことがあり、日本から家具やインテリア用品を各国へ送った経験があります。
時には、店内の意匠として青森でねぶたを特注し、海外輸送したこともありました。

それでも少し久しぶりの作業であり、なにより今回は自分のブランドの製品。
感慨深いものがありました。

着々と手続きと梱包作業を進め、ゴールデンウィーク明けには出荷準備も完了。
リスクヘッジのため開催の3週間前に発送し、今回はトラブルもなく無事に税関を通過しました。

6月の早い段階で、現地に到着したとの知らせが届きます。

これで準備は完了。
あとは万全の体調で現地へ辿り着けば、いよいよ出展です。

 

開催の3日前となる6月15日(日)に日本を出発。
翌朝16日(月)、デンマークのコペンハーゲン国際空港に到着しました。

電車を乗り継いで Airbnb で予約していた宿へ向かい、ホストと談笑。
ひと息ついてから街を散策し、そのまま出展場所の下見へ向かいました。

開催前日の17日(火)。
朝から出展場所のお店に入り、設営をスタート。


遠く離れた地での設営。
限られた道具と備品でのセッティング。
そして時差ボケというコンディション。

それでも、皆が前向きに気持ちよく取り組んでくれたおかげで、トラブルや予想外の出来事は多少ありながらも、何とか1日で設営からスタイリングまでを終えることができ、仲間のありがたみを強く感じた前日でした。

プロダクトの特徴である組み立てと分解を、視覚的に分かりやすく表現したショーウィンドウ。
それに連動して世界観を付与した、ガラス面の浮遊感のあるグラフィックデザイン。

常に意識して取り組んできた、良い意味で「違和感を生み出すこと」が、またひとつここで実現できたと確信しました。

そして迎えた “3daysofdesign” 開催当日。
天候は晴れ。日本の春のような陽気と澄んだ空気の中、最高のスタートを迎えました。

 

美しく静かな街の中で、斜め向かいの名店のカフェに行列ができ始めた午前10時。
出展場所のお店の扉をゆっくりとオープンしました。

しばらくすると、ショーウィンドウを見た人がふらりと一人、また続けて一人と、展示を見に来てくださる方が現れました。

散歩中だった近所の方からはじまり、時間が経つにつれて、各国から建築家やインテリアデザイナー、プロダクトデザイナーや編集者、バイヤー、ショップオーナーなど、多種多様な方々が入れ替わり立ち替わり訪れました。

抹茶や日本酒を振る舞いながら、ゆったりと過ごす時間もありましたが、どの日も一時的に店内がいっぱいになる時間帯があり、お話できなかった方もいるほどでした。

 

そのどなたもが、職業に関わらずデザインへの造詣が深く、サステナビリティへの理解も高い。
それは意識の高さというよりも、当たり前の感覚として社会に浸透していることに驚かされました。

現地の方々が言うには、北欧諸国は夏が終わると日照時間が激減し、朝10時頃にやっと明るくなり、15時には暗くなるという日が続くそうです。寒い時期も長いため、自宅で過ごす時間や、家族や友人とホームパーティーをする機会が自然と増える。
その結果、空間づくりや家具、インテリアの文化が他国よりも発展したのだといいます。

外出時に着る服のように、自宅も他者から見られることを前提に自分らしく表現する。
そして何より、自分や家族が長い冬を心地よく過ごせるように設える。

たしかに一時的なことではありましたが、コロナ禍では世界中で家具やインテリアの売上が急増しました。
外出できない状況の中で、自宅の空間をいかに心地よくするか、多くの人が本気で向き合っていたのを思い出します。

それを当たり前のこととして、何十年も前から積み重ねてきた北欧諸国。
その家具やインテリアが、細部まで考え抜かれ、美しさと機能を備えているのは、ある意味で必然なのかもしれません。

 

日本は技術では優れていたとしても、世界で通用する家具やプロダクトの若手デザイナーが育っていないのは、暮らしに向き合うという点において、風土や環境などの外的要因も多いように思います。

SNSで見たことがある、有名なブランドだから良い、有名な人が使っていた物だから欲しいといった価値基準の蔓延や、見分けにくい模倣品やリプロダクトなどが市場に増えていることなども、現代的なひとつの要因として拍車をかけているのかもしれません。

ゆえに多くの日本の家具メーカーが、国内のデザイナーではなくヨーロッパの優れたデザイナーと共に製品開発に取り組むのも、企業としての生き残りを考えれば必然の流れでしょう。
しかし、それでは国内の若手デザイナーが育たず、この点においては差が広がるばかりです。

しかしながら、もともと日本の暮らしへの向き合い方には、世界でも稀な美意識が受け継がれてきた側面もあります。
視点を変えれば、あるいは土俵を変えて取り組めば、ヨーロッパ諸国の背を追わずに、異なる良き進化の道を歩むこともできるのではないか。

それが最近の私の持論であり、3daysofdesign への出展を経て、その思いはさらに強くなりました。

独自のカルチャーとサステナビリティを融合させた、SOUI and KUFU の世界観やデザインのアプローチは、まだ発展の途中ではありますが、まさにその道筋には間違いなくあります。
製品を見てくださった多くの方から、「北欧らしい要素の中にも、日本らしさと、革新的な新しさを感じる」といったニュアンスの言葉を数多くいただきました。

そして

「組み立て分解ができフラットパックになる点」
「削ぎ落とされた壊れにくい構造」
「デザインそのものがサステナブルであること」

についても評価をいただき、プロダクトへの深い理解と可能性を感じてもらうことができました。

ここまでの道のりは間違っていなかった。
それを確認できたこと、そして多くの出会いとかけてもらった言葉が、今回の出展における何よりの収穫でした。


世界的なインテリアブランドや日本の老舗メーカーに比べると、来場者数は決して多くはなかったかもしれません。
それでも、ブランド立ち上げ間もない私たちにとっては、充分すぎるほどの人の数と出会いに恵まれ、とても充実した3日間を過ごすことができました。

前夜祭や3日間の出展期間の合間にも、夜には様々なイベントへ参加させていただき、大いに刺激を受けましたし、出展場所の周辺や街中でも製品の撮影をすることができ、協力してくれた仲間達と、出展場所を快く貸してくださったお店の方や、関係者の皆さまには感謝しかありません。

思い返せば、コロナ禍が明けて初めての海外。
出展まで走り続けてきた数年、ここから数日間はコペンハーゲンの各所を巡り、しばしの休暇とインプットの時間として過ごし楽しみました。

コペンハーゲンでの出展と休暇から、久しぶりにフランス・パリへと足を伸ばした2025年の上半期。
反響があれば、番外編、もしくは # 4 として記しても良いかもしれません。

ひとまず、記憶や感覚が薄れる前に記しておこうと始めた SnK JOURNAL。
ここまでの話の中にも細かなエピソードや思い出を加えれば、まだいくらでも追記できそうなほど濃い時間でしたが、ハイライトとなったブランドの立ち上げから 3daysofdesign までの大筋を終えることができました。

ブランドを子どもに例えるなら、やっとつかまり立ちをしたくらいか、歩き始めたばかりでしょうか。
目を離せばすぐに倒れたり、どこかへ行ってしまうかもしれない。

まだまだ手がかかりますが、しっかり愛情を注いで育てていきますので、これからも SOUI and KUFU の成長を温かく見守っていただけたら幸いです。

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