SnK JOURNAL # 1

JOURNAL # 0 を読んでくださった皆さま、ありがとうございました。

温かな言葉や応援のメッセージをお寄せいただき、心より感謝いたします。

ブランドというのは不思議なもので、成長していく過程で、偏ったイメージを持たれたり、何かの枠にカテゴライズされてしまうことがあります。

しかし、このブランドは、大好きな音に触れ、自然の中で遊ぶことに幸せを感じる一人のデザイナーが立ち上げた存在そのものです。

国内外のさまざまな文化に触れながら、自分の人生で蓄えてきた感性を暮らしへ循環させ、新たなスタイルとして表現している。

それ以上でも、それ以下でもないと思っています。

# 1 では、創設者でありデザイナーの 関根 将吾 / SHOGO SEKINE が、今から2年前に会社を設立し、プロダクトを生み出してから製品としてローンチする直前までを記した、ブランドづくりへの挑戦——約10ヶ月間の軌跡と想いを振り返ります。

 

約15年、私はデザイン事務所や企業内のデザインチームに所属し、国内外のインテリアや空間づくりに、裏方のひとりとして携わってきました。

2020年の年明けにフリーランスとして独立。

しかし、ほどなくしてコロナ禍による緊急事態宣言が発令され、厳しい船出となります。

悲しい別れや逆境の中でも、周囲の支えに恵まれ、何とか仕事を続けることができたことは、いま振り返れば大きな糧になりました。

あのような状況でも歩みを止めずに来られたのだから、この先も続けていけるのではないか——。

そんな思いが芽生え、独立から5年目を迎えた2024年2月、JOURNAL # 0 で書き記した、生まれたての SOUI and KUFU と共に、新規事業を主軸に据えて法人化へと踏み出しました。

不慣れな数多くの手続きを経て株式会社を設立。

さあ、ここからだと、これまでの経験と手元にある試作を握りしめ、ブランドづくりにフルコミットしようとした矢先、ジムでのトレーニング中にアキレス腱を断裂する事態に見舞われます。

3日後には手術、そして生まれて初めての入院。

設立直後に出鼻を挫かれ、痛みに耐えながらも、病院のベッドの上で考え続けていたのは、寝ても覚めてもブランドづくりのことでした。

退院後はリハビリの日々。

幸い両手は自由に使えたため、頭の中のイメージを言語化し、ブランディング資料として少しずつ形にしていきました。

同時に、試作を基に材料の調達先や製作先を探し始めます。

ブランドづくり自体は、これまでデザイナーやディレクターとして関わってきた経験のおかげで、迷いながらも着実に輪郭を帯びていきました。

しかし、同じものを安定して製作し販売するためには、今まで手掛けてきた特注品や一点物とは異なり、似て非なる製作先や環境が必要です。

材料の安定供給先や提携する工場に加え、製品の実物を展示するショールームの物件探しには、想像以上の時間を要しました。

松葉杖やギブスを使いながら歩けるようになってきても、以前のようにフットワーク軽く商談や工場見学に赴ける状態ではなく、もどかしい日々が続きます。

そんな中でも順調に進んだのは、類まれなセンスと磨き上げられたスキルを持つメンバーたちと共に創り上げていった、ブランドの世界観を具現化するためのビジュアルづくりでした。

グラフィックを用いたパッケージやWEBのデザイン、そして印象を大きく左右するブランドのロゴや写真による表現と見せ方などが、そのひとつひとつです。

 

SnK製品の特徴の一つである、分解・組み立て可能な構造を活かした、フラットパックのオリジナルボックス。

それは単なる梱包材ではなく、再収納にも適し、部屋に飾りたくなる存在として、再生紙を用いて箱を細部まで設計し、パッケージの外装にグラフィックデザインを施してもらいました。

並行してブランドサイトやオンラインショップのイメージとデザインを何度も打ち合わせ、全体の方向性やトーンを定めるためにも、まずブランドのメインカラーやサブカラーを選定。

人生で最初のターニングポイントとなった旅先の赤土の大地から着想した RED CLAY をメインカラーに。幼い頃から心の支えとなっている地元の海と空を彷彿とさせる DUSK BLUE をサブカラーに決めました。

続いて、ブランドの核として存在していたコンセプトやステートメントを最終版として言語化し、頭や心の中にある “ ブランドフィロソフィー ” を、分かりやすいイメージや参考資料も添えながら、製品情報と合わせて共有していきました。

キービジュアルとなる写真の撮影は、ブランドづくりの軸でもあるファミリールーツを辿り、北海道と湘南エリアをリクエスト。

由縁のある鎌倉の海辺やスケートボードパークをメンバーと共に巡りながら、製品の試作をセッティングし、屋外での撮影にも協力してもらいました。

北海道の地では、工場見学の合間に機材を抱えて白樺の森に入り、自らシャッターを切ったこともあります。

こうした楽しく、刺激的で、クリエティブな時間は、ブランドづくりの醍醐味かもしれません。

一方で、シビアな材料の調達や製作の工程、原価の調整や契約ごとなど、社会的に製品を商品化するまでの道のりの課題は山積みで、ひとつずつ誠実に向き合い、クリアしていく日々が続きました。

半年をかけて全国各地に足を運んだ結果、最終的にはファミリールーツでもある北海道 旭川 の地で、環境負荷の低い白樺の間伐材(エコロジープライウッド)と出会い、素晴らしい職人の方々とのご縁にも恵まれ、材料の調達および製作をお願いする先が決まりました。

さらに、オプション製品に使用する海洋プラスチック再生材や再生ナイロン生地についても、調達先と製作パートナーが順次決定していき、今日までの1年半にわたり、私たちのブランドの根底を支え続けていただいています。

 

私は作家やアーティストではないので、ひとりでものづくりをすることはできません。

まず自然があり、そこから生まれる素材がある。その素材を材料へと加工する人がいて、さらにそれを調達し、製作してくれる職人さんがいる。

そうしてはじめて、自分のデザインは具現化され、物として目にし、触れることができます。

ものづくりを続ける中で、自然にも人にも感謝しなければならないと、あらためて感じる日々です。

不思議な感覚ですが、環境負荷の低い素材を選び、そこからデザインを組み立てていくと、地球や自然への罪悪感が和らぎ、心に余白が生まれます。

その余白から自由と遊び心が芽生え、ものづくりそのものが、さらに楽しくなっていきます。

環境に配慮したブランドの多くはナチュラルな世界観を打ち出していますが、私の場合は、むしろその感覚が強いからこそ、既存のイメージや固定概念にとらわれず、自分の好きなカルチャーを取り入れ、ユニークなデザインや配色で遊ぶことができているのだと思います。

いわゆる “ ブランドフィロソフィー ” と呼ばれる領域を、余すことなく伝え切る世界観づくりや、ブランドとしての表現・見せ方は、決して簡単なことではありません。

そして、すべてを語らなくてもよい在り方もあるのだと思います。

それでも私たちのブランドは、成長とともに、押し付けがましくないかたちで、そうした考えや感覚が自然と滲み出ていく存在になれたらと願っています。

プロダクトからも、WEBやSNSからも、あらゆるツールや表現を通して。

そんなことを考えながら、限られた力と愛と資金を工夫し、創り上げてきたブランドが、SOUI and KUFUです。

まだまだ発展途上で、やりたいことの10%しかできていません。

けれど、この2年で蒔いた種は、確かに根を張りはじめ、育っているのを感じています。

焦らず、誠実に、挑戦を重ねながら、このブランドと共に成長していくことが、今の私の幸せです。

JOURNAL # 1 をお読みいただき、ありがとうございました。

次回 # 2 では、ブランドや製品のローンチ、そしてその半年後に挑戦した、デンマーク・コペンハーゲンでの 3daysofdesign について振り返ります。

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